こんにちは。はる(@haru_nutriology)です。
高タンパク食+メガビタミンのニュートリロジーを実践することで子宝を授かった経験から、妊娠には特に下記の栄養が必要だと言ってきました。
・タンパク質
・脂質(オメガ3,9系脂肪酸+コレステロール)
・ビタミンE
・ビタミンC
人体の構成要素や代謝活動は複雑なため、他にビタミンA、B、Dやミネラルといった栄養も必要になります。しかし、妊娠を考えた時に特に重要なものは上記のとおりです。
このうち、脂質は食生活を変えるだけで賄えますが、タンパク質とビタミンは食事だけから賄うのは難しく、プロテインやサプリメントを賢く使う方が効果的になります。
「これを取れ」と言ってきたこととは反対に、今回は「これを取るな」ということを紹介しようかと思います。
結論:糖質制限(=良質な脂質とタンパク十分)の食事は赤ちゃんも妊婦も元気にする
妊娠を考える上で糖質を取ってはいけない根本的な理由は、以下のとおりです。
- 脂質と違い、人体の主要な材料でない
- 脂質よりエネルギー効率が悪いうえに、ビタミン・ミネラルを無駄に消費
- 高血糖や血糖値の乱高下が、妊娠や胎児の育成にさまざまな悪影響を及ぼす
推奨栄養比率に科学的根拠なし
三大栄養素であるタンパク質(P)、脂質(F)、炭水化物(C)の比率をPFCバランスと呼びます。
人体の構成成分※はP:F:C=51:48:1でほとんどタンパク質と脂質です。
※水分・ミネラル除く
卵は生命へと変わる栄養の塊で、人体もほぼ同じ比率だということを以前に確認しました。
身体の材料となる栄養をとるのが大事、と繰り返し述べてきましたが、この比率を考えれば卵の成分に近いような食生活が正しいことになります。
ところが、厚生労働省が推奨する比率(中央値)はP:F:C=17:25:58で糖質がかなりの割合を占めます。
実はこれには科学的データがまったくありません。
”日本人の食生活を調べたらこのくらいの割合だった”という程度のものなのです。
その証拠に令和元年度の日本人(20歳以上)の平均的な食生活のデータを見ても、ほぼ推奨されてるのと同じ比率です。
この図を見てどう感じられるでしょうか。ほとんど人体を構成していない糖質が、食生活の推奨では極端に比率がアップしています。
”昔の人は和食中心だったから長生き、現代っ子は洋食文化だから長生きできない”
と、私が子供だった頃によく大人たちから聞かされたものです。しかし、上の図は”今現在”の食生活でほぼ理想的と読み取れます。
一日の栄養のうち、平均して65%を糖質から得ていますが、大半の人が理想的な水準であり、今のままの生活で肥満や糖尿病なども防げて将来に渡って健康なのでしょうか。
平均的な食生活の人でも不妊に悩んでいたり、健康を損ったりするのはなぜでしょうか。
常識というものが少し疑わしく思えてきます。
”糖質はエネルギーになるんだ。大量のエネルギーが生命活動には必要なんだ!”
という意見もあると思います。
しかし、エネルギー効率でも圧倒的に脂質が勝っているのでした。
科学的正確性において、栄養分野はあまりにも発展途上なのです。
胎児は脂質をメインエネルギーにしている ~宗田哲男医師の大発見~
私達は栄養によって元気な子供を育てるのが目標です。
もし、赤ちゃんのメインエネルギーが糖質であれば、この推奨量でよいでしょう。
そして長らく赤ちゃんはブドウ糖(糖質の最小単位)を必要としていると考えられてきました。
ところが2012年に産婦人科医、宗田哲男医師の研究により、
胎児は脂質をメインエネルギーにしていることが発見されます。
胎児の血中の栄養を調べるのは困難なのですが、宗田医師は出産直後の臍帯血(へその緒の中を流れる血液)を調べることによって、出産直前まで母親がどんな栄養を胎児に与えていたのか分かるのではと考えました。
すると、へその緒からは脂質をエネルギーとして代謝する時にできる”ケトン体”が異常な程高く検出されたのです。これらは数百事例の検査によって確かめられています。
さらに出産直前だけでなく、胎児はかなり初期から血液中のケトン体が高濃度であり、妊婦自身もケトン体濃度が上がっていたのです。
これは、赤ちゃんは脂質をメインエネルギーにしている動かぬ証拠となりました。
さらに、宗田先生の著書「ケトン体が人類を救う」には糖質制限※を行うことで、妊婦と赤ちゃんにいかに良い影響を与えるか書かれています。
※糖質制限はカロリー制限ではありません。良質な脂質とタンパク質をしっかり取ることが大切です。
・糖質制限食を行った妊婦は一般食に比べ、優位に体重増加が少なかった(平均3kg以上減)
・糖質制限食と一般食で新生児の体重に変化はなかった=発育に問題なし
・妊婦の血糖値が低く抑えられた
・妊娠糖尿病にかかった妊婦も糖質制限食で安全に出産できた
・糖質の取りすぎで巨大児(4,000g超)を産んでしまった妊婦も、第二子時に糖質制限で適正体重(3,000g前後)で産めた
・妊娠糖尿病は母体が「糖質を拒否」している病態であり、脂肪とタンパク質を求める合理的な繁殖の仕組みの一部ではないか
・精子の質が改善された
・糖質過剰による高血糖や血糖値の乱高下が胎児の知能低下を招く可能性がある
宗田哲男:ケトン体が人類を救う
定説を疑い、画期的なアイディアで胎児栄養の測定方法を発明して世の常識を覆した先見性や、実際の現場で多くの妊婦を救ってきた母子への多大なる貢献には脱帽です。
「宗田マタニティクリニック」では、多くの産婦人科医が投げて出してしまうような妊娠糖尿病患者を”インシュリンなし”で無事に出産させたり、不妊治療も高額な薬剤でなく、栄養指導で妊娠にいたったりしています。
クリニックは千葉県にあるそうですが、
Facebookでも情報発信されています。
これから妊娠を目指す人、妊娠中で栄養改善に取り組む方は下記の書籍は必読書と言ってよいかと思います。私達夫婦も大変参考にしました。
「ケトン体が人類を救う-糖質制限でなぜ健康になるのか-」https://www.amazon.co.jp/gp/product/B0197SGQJY/ref=dbs_a_def_rwt_hsch_vapi_taft_p1_i1
「産科医が教える赤ちゃんのための妊婦食」https://www.amazon.co.jp/gp/product/B08LPTJ5XN/ref=dbs_a_def_rwt_hsch_vapi_taft_p1_i0
糖質はゼロでいいのか
妊娠に必要な本来のPFCバランスは人の成分に近いもの
赤ちゃんが脂質をメインエネルギーとしていることが分かったので、やはり三大栄養比率は見直す必要があります。
単純に下図のように人の成分比率に近づけるのが合理的ではないでしょうか。
肉食動物は数日に一回狩りをすれば、生きれます。
一方、草食動物は自分の身体の成分とは程遠い”草”を食べるがために、一日中食事をしていなければなりません。しかも、草(=炭水化物)を腸内細菌によってタンパク質の元であるアミノ酸に変えて吸収するという手間をかけています。
効率がいいものを食べる、単にそれだけのことです。
10 %としたのは、世界保健機関WHOが2015年に発表した「成人及び児童の糖類摂取量ガイドライン」からです。
このガイドラインでは5 %程度にするとなお健康に良いと表記されています。
参考:Guideline:Sugars intake for adults and children
ちなみに一日のカロリーの10 %目標は、現代の食生活ではどんなに糖質をゼロにしようとしても調味料や肉、魚、卵、チーズにも少ないとは言え、糖質が元から含まれるので、最大限気をつけても結局は10 %くらいは糖質をとることになると思います。
一日約2,000 kcalとして、その10 %なので糖質は200 kcal、グラムに直すと50 gです。
糖質の必須量はごくわずか:ティースプーン一杯5 g
糖質が絶対に必要な箇所は主に赤血球、グリコーゲンや細胞膜や酵素表面の材料となる糖鎖です。
①赤血球:糖質を唯一のエネルギーとするため、糖質ゼロでは血液で酸素や栄養を運べません。
②グリコーゲン:筋肉と肝臓に存在する貯蓄型エネルギー。
③糖鎖:糖が鎖のように繋がったものです。糖同士だけでなく、タンパク質や脂質ともつながります。タンパク質と繋がった糖タンパクは妊娠に必要なホルモンや粘膜などを構成しています。
これらは絶対に糖を欠かすことができません。
しかし、ごくわずかな糖質だけで賄えます。
「ケトン体が人類を救う」のコラム(メディカルトリビューン)によると、デューク大学のウェストマン准教授※の試算では
※デューク大学生活習慣医学クリニック所長、アメリカ肥満学会議会長
人の糖質一日必要量はティースプーン一杯=5 g
としています。
上の例の50 gでも最低限必要な量の10倍です。
どんなに頑張って糖質を制限しても、糖質が足りなくなることはまずないということです。
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